SEVENのお話だよ。7だよ。


このページは結婚式&新婚旅行時に行った個人的感動の物語です。
そもそも、あの聖地"ケーターハムカーズ"に行けるとは思わなかった!
この地に辿り着くまで数々の経緯があったんだ。

・まずは渡航先決定まで

結婚式はスイスと決まったが、もう一国が決まっていなかった。
10日間もスイスにいても飽きそうなのでヨーロッパの何処かに行こうと思ってた。
この頃、私は別に何処でも良かったし、あまり興味もなかった。別に行きたい国なんてなかった。

そんな私を見かねて、ある日妻が行った。

妻 : 「"7"ってイギリスとちゃうかった?」
私 : 「そうやけど、それがどうしたん」
妻 : 「いいよ、見に行こう。」
私 : 「えっ?」

あまりに唐突で、さすがの私も考えていなかったことだけに、すぐには理解できなかった。

もう一度確認した。「"7"見に行っていいんか?」

ここから結婚式&新婚旅行が待ち遠しく感じ、イギリスについて調べ始めたのであった。
(妻よ、今更ながらごめんね。これで息を吹き返した感じやったよ。本当に感謝してるよ!)


・前日から当日の朝

レンタカーを借りることにしていた。
しかし前日からアクシデント発生!
歯痛だ!(私が)
治療中だったがなんでこんな時に!
少しづつ痛みは増してきてたが、遂にピークか。薬も全く効かない!
その夜は何とか寝たが、朝6時くらいから痛みで寝れない。いろんなサービスセンターやカウンターに電話しまくっ た。この時程英語がしゃべれなかったことが苦痛に思ったことはなかった!

やっとのことで隣のヒルトンホテルの日本人の方が見つけてくれ、10時頃歯医者へ行けた。
(この時妻は、「もうケーターハム行くの止めよう」としきりに言う。しかし私は無言。)

しかし、医者が言うには「今この場で治療はできない。日本で治療している先生の許可がいる」
なんでだ!とにかく痛みを取ってくれ!
どうやら、一時的に化膿しているようでここで治療してしまうと、日本でまた一からの治療になってしまうので出来ないらしい。
痛み止めと、化膿止めをもらい、4時間おきに飲むことにした。でも痛みはこの日止まらなかった。

痛みはひかないが、神経を分散させる為と目的達成の為、妻の制止を振り切ってレンタカー屋へ!


・いざ出発

Hartzという世界的に有名なレンタカー屋でも時間を費やした。この時午前11時頃。
手続きがなかなか進まない。言葉が通じないせいだ。お互いゼスチャーゲームの様なやりとりが続き約30分後
やっと借りれた。車種はフィアットの"プント(日本名)"だ。


・道中

ここからがまた大変な物語。

道路標識もはっきりわからない上、土地勘なんてあるはずも無い。
ロンドン市内を抜けるのに約2時間。途中ロンドン塔やビッグベン等偶然通ったが、かなり神経を使った。

更に天気がころころ変わる。晴れたり、曇ったり、ヒョウが降ったりと。
イギリスでは道に全て名前が付いているが、あまりにローカル過ぎて地元民でもわからない。
ツクまでに一体何人の人に道を尋ねただろう・・・。かるく10人以上は聞いたな。

ロンドンっ子なら通常1時間くらいで着くらしいが、3時間以上経過した現在午後3時過ぎ、まだ着かない。
途中知らぬ間に有料道路に入ってしまい、お金を払いわすれ、えらく怒られるということもあった。

妻が不安にかられ、何度か泣きながら言う。「ロンドンに帰りたい」・・・・・私「無言」
その後あるラインを引いた。"4時までに見つからんかったらロンドンに帰ろう"・・・・・焦った。もう時間が無い!

「もう近くまで来てるはずや・・・」と自分に言い聞かせながら小さな店で道を尋ねた。
店員 : 「ここをUターンして、最初の信号を左折。その先に大きな看板(本屋さんの)を右だ」

その看板を見つけた。右を見た!「あった!!!」何度叫んだか!
まるで、盆と正月が一緒に来て、阪神が優勝したような騒ぎだ。この時午後3時半!


ケータハム表1

これがケーターハムカーズだ!
ここに辿り着くまでどんなに大変だったか!
何度喧嘩したことか!

しかし感動だ!感動!

何より妻の方が感動して目が"うるうる”状態だった。
(それほど色々あったのだ!)

到着するやいなや、妻が駆け出し従業員らしき人に訴えた
"We from Japan!"
そう!私たちは遥々極東から来たんだ!

ケーターハム表2

表には納車前の"7"達が整然と並んでいた。
みんなここからオーナーの元へ旅立つのだ。

人のSEVENの前で。
何故か妻も。

ケーターハム内から

これはケーターハムカーズ社の中からのスナップだ。

待ち合い室(?)で待っている間に撮ったもの。

ショーケース

その待ち合い室にあるショーケースだ。
(これまるごと持って帰りたかった)

工場

撮影を快くOKしてくれて感謝!
そう!これが工場だ。聖地なんだ!

歯痛もあるが声が出ない!感動でしゃべれない。
(もともと英語はしゃべれないが・・・)
工場を案内し、説明してくれているが、聞こえない!
(大袈裟だが足が震えてる?)


たったこれだけの敷地内から全世界に出荷されるんだ。
全てここから生まれたのだ。
一日に2台も作れない手作りの工房。

ボンネット

順番待ちのボンネット達!

日本ではこんなカラフルな色は見たことが無い。
シルバーが定番だと思っていたが、本場は違うようだ!
だいたい青い"7"なんて見たこと無いぞ。
ましてや赤い"7"なんて!

シャーシ

車に詳しくない妻でもこれを見て"手作り"を実感。

まず、このシャーシーから始まるのだ。

この状態ではさすがに車種がわからん。

この向かいで"KIWA"と記してある完成車があった。
日本の紀和商会向けだ。
思わず言った。"Japanese KIWA"

組み立て中

その隣にあった。
"This JPS Special?"
"No!"と言われた。違うらしい。

JPS Specialは別室で組み立てられていた。
そこも見学させてもらったが、写真はダメとのこと。
そこには気難しそうな職人がコツコツ組んでいた。
確かに撮影したら怒鳴られそうな感じ。

Caterham21も作ってた。

でも工場内では、これ一台だけ。

快く撮影を引き受けてくれた。

Caterhamで買ってしまった。

宝物なので着れない。まだ袖を通さず飾ってある。

これも買ってしまった。

バッジとキーホルダー。

これも宝物なので、いつの日か愛車になるまでは。

実はこれ以外にもその時の領収書もとってある。

 


・帰路

まだこれからロンドンに帰らなあかんのや。
どうやってここまで来たかわからんのに、帰れるんか・・・・・。

午後8時までに車を返さなあかん。あと3時間ほどあるし大丈夫かな。

しかし、時間帯に悪かった。帰宅ラッシュだ。大渋滞。
更に何処かでガソリンを入れなあかん。満タン返しや。
土地勘もないので、どの辺でいれて良いかわからん。早く入れすぎたら、また減りそうや。
余談だが、日本では見ないガススタンドがあった。BPとかTOTALとか・・・。なんかかっこええ。

なんとか帰れた。時間は7時半。
くたくたや。ここまで心身共に疲れたのは久しぶりや。人生のワースト3に入るな。
歩くのがやっとで、冗談も言えん。"帰る"という信念、使命感で動いてるという感じ。でもまだ歯は痛い。


・翌朝

その晩、死んだ様に寝た。
そして朝、目が覚めた。

痛くない。歯が痛くない。効いたんや。やっと薬が効いたんや。